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むかしむかし、あるところにとてもワガママなウサギさんと、とてもおとなしいリスさんが居ました。


ウサギさんは、いつもリスさんにワガママを言って居ました。




ある時は、おなかが空いたから森に木の実を取ってきて欲しいと、リスさんに取りに行かせたり


ある時は、寒いから布団代わりにする落ち葉を集めて来てと言ったり・・・


とにかくウサギさんのワガママは、リスさんを駒使いの様な扱いでした。



しかしリスさんはウサギさんに対して、いつも不平不満を一度も言わず、それどころかウサギさんの役に立てる、喜んで貰えると、いつもウサギさんのワガママを聞いていました。




それはリスさんが、ウサギさんの事が大好きだったから・・




どんなに大変でも、どんなに疲れていても、ウサギさんに喜んで貰えると信じて居たから。




でも、ウサギさんはそんなリスさんの気持ちも知らず、リスさんが自分の為にいろいろするのは当たり前の事だと思ってました・・・。




リスさんが体調を崩し、森に行けない時も、ウサギさんはリスさんの心配をするどころか、おなかが空いたのにリスさんが森に行かないのに腹を立て、リスさんに酷い事を言ったりしました。





それでも、リスさんは何も言い返さずに、謝るだけでした・・・。





ある日、1年に一度、森の妖精さんが2人の住む丘にやって来て、木の実を持って来ました。


妖精さんが持って来る木の実は、土に植えて育てると、普通の木の実よりすぐに収穫ができ、育てると普通の木の実より、10倍の収穫が出来る『神さまの木の実』でした。



もちろん、そのまま食べても、普通の木の実より遥かに美味しい木の実でした。


リスさんは、もちろん育てて、木の実を増やす事に決めていました。


それはリスさんの性格と、将来的に沢山実をふやす為という賢い考えでした。




一方、ウサギさんは先の収穫より、今おなかが空いてる事を理由に、自分の木の実を全部食べてしまいました・・・。


ウサギさんは、今この木の実を全部食べても、またリスさんに森に木の実を取りに行かせれば良いだけだ・・・と言う信じられない考えを持っていました。




ある日、リスさんが妖精さんから貰った木の実を増やす為に、土に植えようと畑に木の実を持って来たところに、ウサギさんがやって来て、いつものワガママが始まりました・・・。



ウサギ『ボク、おなかが空いたからリスさん、森に行って木の実を取ってきて!ここで待ってるから。』



リスさんは少し不満が有りましたが、ウサギさんが喜んでくれるならと、神さまの木の実を、畑の隅にある切り株の上に置いて、森に木の実を取りにいきました。



ところが、ウサギさんはそんなリスさんの優しさを裏切り、おなかが空いてるのを理由に、切り株の上にある、リスさんが畑に植えて育てようと持って来た神さまの木の実を、全部食べてしまいました・・・。



そんな事も知らずに、リスさんは一生懸命、森で木の実を沢山取ってきて、丘に戻って来ました。



ウサギ『リスさん、ボクもうおなかいっぱいだから、リスさんが取ってきた木の実はリスさんが食べていいよ♪』



リスさんは(もしや!!)と思い、切り株の方を見に行ったら、不安が的中し、そこに置いて有った神さまの木の実が無くなって居るのに気付きました・・・。



リス『ウサギさん、なんでわたしが妖精さんから貰った、大切な神さまの木の実を勝手に食べたの?』


ウサギ『だってリスさんが森から木の実を取って来るのが遅いから、おなかが空いてつい食べちゃったんだよ・・・』


リス『あれは畑に植えて、沢山増やして収穫したら、ウサギさんと一緒に食べようと思ってた大切な木の実なのに・・・』


ウサギ『あんな目立つ切り株の上に置いておく方が悪いんだよ!ボクは何も悪くない!』


リス『酷い・・・わたしは今まで、ウサギさんのワガママをいっぱいいっぱい聞いてきた。でも、一度もわたしは『ありがとう』の一言も言って貰った事もない・・・

それどころか、ウサギさんはわたしが体調を崩した時も、森に木の実を取りに行けなくて、わたしを散々罵った!

それでもわたしは、何も言わなかった。

その結果がこんな仕打ちをされるなんて、もうわたしはあなたの言う事は一切聞かないから!』


ウサギ『今取ってきた木の実沢山有るじゃん!そんなに怒る事ないでしょ?』


リス『・・・・・』




それから、リスさんは、ウサギさんに対しての気持ちは、『大好き』から『大嫌い』に変わってしまいました。



ウサギさんは、おなかが空いても、もうリスさんは自分のワガママを聞いてくれません。


森に木の実を取りに行った事もほとんど無かった為、おなかはとても空くばかりでした。





その時、ウサギさんは、リスさんの存在、無条件の優しさに初めて気付きました。


と言うより、思い知らせたのでした・・・。




でも、一度離れた気持ちは、二度と戻る事はありませんでした。


その後のウサギさんの生涯は、辛さと苦しみの連続だったそうです。




一方、リスさんの方は、ウサギさんに解放されて『幸せ』になったと思いきや、ウサギさんと喧嘩別れしたが為に、ウサギさんが苦労してるのと、当時ウサギさんにキツい事を言ってしまった事が、ずっとずっと心残りで、リスさんも辛い生涯だった様です。




片方が不幸になれば、片方も幸せにはなれないのかもしれませんね・・・

或いはリスさんが優し過ぎて、自分の幸せより、ウサギさんの不幸を悔やんでそうなったのかもしれません。



真実は、2人にしかわからない・・・と言うお話





人間、男女の仲にも同じ様な事が言えるのかもしれませんね・・・。


もちろん、皆がそうではありませんが。