2人

彼女には、幼い頃から仲良しの男の子が居ました

2人は、何処にでも居そうな「幼馴染み」だった

誰よりも仲良しで、誰よりも相手の事を想い合える優しさを、2人は持っていました。

彼女は幼いながらも、その男の子に「恋」をしてしまいました



彼女「きょうくん、わたしね!」

彼「ん?どうしたの?」

彼女「・・・好き!」

彼「え??」

彼女「だから!わたしはきょうくんの事、好きなの!」

彼「うん!ボクもけいちゃんの事、大好きだよ!」

彼女「じゃあ、将来はきょうくんのお嫁さんにしてくれる??」

彼「うん、いいよ!・・・ボク、けいちゃんの事、将来お嫁さんにするよ!」




時は流れ、2人は高校生になりました。

彼女は、相変わらず彼と仲良しで、いつも一緒に遊びに行ったりする間柄でした。

彼女の中で、彼に対する「恋心」は、次第に薄れつつ有りました



ある日、彼女は彼から告白されました



彼「けい、俺と付き合って欲しい!」

彼女「・・・ごめん・・・」

彼「・・・・・」

彼女「わたし・・・きょうの事、今はそう言う風に考えたくないから・・・」



上手く彼女は、表現出来なかった

本当は、彼からの告白は、誰よりも彼女が望んで居た事のハズなのに

しかし、時の流れが・・・2人を難しい年頃にしてしまっていた



彼「そっか・・・そうだよな!俺たちずっと幼馴染みで、いつも一緒に遊んでたから、そんな風に見えないの当たり前だもんな・・・」

彼女「ごめんね・・・」

彼「これからも、今までと変わらず仲良しで居てくれよな!」

彼女「・・・うん!!」



それからしばらくして、彼に彼女が出来た

彼は、その事を一番真っ先に彼女に伝えた

彼女は、彼に彼女が出来た事に、ホッとする気持ちになった


と同時に、彼女の心の中に、ぽっかりと穴が空いた気持ちでいっぱいになった


彼女が、彼の事を振った

それなのに、彼に彼女が出来た事を聞いて、何故か切なく寂しい気持ちになった


それからしばらくして、彼女にも彼氏が出来た

彼氏は、彼女の事を本当に好きで好きで仕方無く、彼女がワガママを言っても、それをニコニコしながら受け入れてくれた

そんな彼に、彼女は次第に惹かれて行った




ある日、彼女がケータイで撮った写真の画像を整理していた時、数枚の写真を見付けた

それは、幼馴染みの彼と、いろいろと遊びに行った時の写真だった



彼女は、その幼馴染みの彼に告白された日の事を思い出した

写真を見つめて居るうちに、昔幼かった頃の事を思い出した





彼女「きょうくん、わたしね!」

彼「ん?どうしたの?」

彼女「・・・好き!」

彼「え??」

彼女「だから!わたしはきょうくんの事、好きなの!」

彼「うん!ボクもけいちゃんの事、大好きだよ!」

彼女「じゃあ、将来はきょうくんのお嫁さんにしてくれる??」

彼「うん!ボク、けいちゃんの事、将来お嫁さんにするよ!」




気が付いたら、彼女の目から涙が溢れて居た


彼と幼い時に約束した数々の事

彼女が、彼に恋心を抱いて居た事

そして、彼が自分に告白をしてくれた事

自分の本当の気持ちに、彼女は気付いた

本当は、彼の事が好きなんだ

幼馴染みの友達としてではなく、恋をしている相手として



「会いたい」



彼女は気が付けば、彼のケータイに電話をしていた



彼「ごめん、今彼女と出掛けてるから・・・どした?何か有ったか??」



彼女は、何故か心が張り裂けそうになった

いつも、自分と一緒に居た彼

笑ったり、泣いたり、喧嘩したり

そこには、いつも彼の存在が有った

彼女にとって、かけがえの無い、彼の存在は、今はそばに居ない



彼女「そうなんだ・・・何だか彼女とラブラブなんだね!電話したのは、大した事ではないから、気にしないで・・・」

彼「まぁな♪けいも彼氏とラブラブだろ?」

彼女「うん・・・きょう、わたしたち、これからもずっと、どれだけ離れてても、ずっと友達で居られるよね?」

彼「当たり前だろ?いつだって、俺たちはずっと友達だよ」

彼女「・・・・・」



彼との通話を終えた後、物凄い喪失感が彼女を襲った

本音を隠した言葉を繰り出す、彼女の心の中の本音は、彼に届く事は無かった

もとはと言えば、自分自身の気持ちに嘘を付いてしまった彼女が原因だった

しかし、彼女は彼の事を想えば想う程、辛くなっていく


彼には、他に彼女が居る

彼女にも、他に彼氏が居る


彼女は、一通のメールを打った




「きょうへ


本当は、今すぐ会いたいよ!

昔から、いつも一緒に居たから

いつもそばに居たから

いつも一緒に笑ったり、泣いたり

きょうに会いたい!会いたいよ!

あの日みたいに、「好きだよ」って言葉、また聞かせてよ!

何回も何回も、好きって言ってよ!


わたしの事、お嫁さんにしてくれるんじゃなかったの?

わたしは、今でもきょうが好きだよ!




大好きだよ・・・」




彼女が綴った、その一通のメールは、彼に送信する事は無かった

彼女の想いは、これから先、ずっと彼に届く事は無い


彼女が綴ったメールは、そのままケータイの保存フォルダの中に、そっとしまった



彼の事が好き

だけど、今の彼の幸せを壊したくない

そして、今の彼氏を裏切る事はしたくない


一度の気持ちのずれが、2人の運命を変えてしまった

それは、「必然」なのか、「神様のイタズラ」なのか

ただ、確かなのは、今の現実を、どれだけ受け止められるか・・・と言う事だと思った。





※「好き」と言う気持ちを、友達と言う枠の中で、どれだけ隠し通せば良いのか

その気持ちを持ち続けながら今後、彼女は彼とどの様に接して行くのか

「恋愛」とは、時のタイミングと、お互いの駆け引きが、その後の2人の運命を変えてしまうのかもしれない


せめて心の中でだけでも、彼の事を想い続けたいと言う彼女の気持ちは、とても切なく、とても残酷だと思う。


本当に「恋愛」と言うカテゴリーは難しい