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あるところに、一組の恋人が居た。


彼と彼女は同い年で、お互い20代前半。




彼が彼女と付き合い始めて3年・・・

それ以前に、彼女と出会ってから、18年の歳月が経っていた。




彼女は元々、保育園の頃からの幼馴染で、お互いの事を知り尽くした仲だった。

そんな関係が、お互いに、いつしか男と女と言う異性を意識して行った過程での、交際だった。




昔から知っている仲、それが故に、お互いの性格から、1つひとつの何気ないクセに至るまで、知り尽くした仲だった。



そんな中、彼女がいつも言っていた口癖が『やらないで後悔するより、やって後悔する方がいい』だった。




彼が一時期、ある事で悩んでいた時、彼女が『やらないで後悔するより、やって後悔する方がいいよ!』と言った。

その彼女の言葉で、彼はその悩みを乗り越える事が出来た。




そんな彼女が、彼にとってはかけがえのない存在であり、これからもずっと一緒に人生を歩んでいくと思っていた。






しかしある日、彼女が体調不良を訴え、病院で精密検査を受ける事になった。

その結果、彼女は重い病を患っている事が分かった。

若い為か、その症状の進行が早く、長くて半年の命だと医者に宣告された…




彼は、その突然の宣言に、頭の中が真っ白になった。

彼にとって、彼女は人生の全てであり、かけがえのない存在だった。

その為、彼は目の前に居る彼女が、もうすぐ居なくなってしまう事に、絶望した…



しかし、彼女に残された時間は、刻一刻と過ぎて行く…

時間は、待ってくれない…




彼は彼女との少ない時間を、彼女とより多く一緒に居る事を決めた。

彼女の為に、何が出来るかは分からないけど、とにかく少しでも、残された時間を彼女と共に過ごす事にした。





彼『おはよう』

彼女『・・・おはよう』

彼『具合はどう?』

彼女『うん、今日はちょっと良い方かな?』

彼『・・・そっか』

彼女『そう言えばね私、ゆうや君に今まで言って無かった事があるの』

彼『言って無かった事?』

彼女『うん・・・あのね、私ね、ゆうや君の事、保育園の頃から密かに好きだったの』

彼『えっ!?』

彼女『気付かなかった?エへへ。。。やっぱりそゆとこ、ゆうや君って昔から鈍感だよね』

彼『・・・・・』

彼女『だからね、高校も、ゆうや君と同じとこに行きたかったから、同じとこ受験したんだぁ♪』

彼『でも、同じとこになったのはたまたまだって言ってたよな?』

彼女『それは・・・そんな事、その時は言えるワケ無いじゃん』

彼『・・・・・』

彼女『ずっと一緒に居たかったから』

彼『・・・・・』

彼女『それでね、高校3年になって、もうすぐ卒業って時に、ゆうや君が私に告白してくれた』

彼『うん』

彼女『さすがにそこまで、私も想定してなかったから、本当にビックリした』

彼『それは・・・りさことはずっと一緒に居たし、歳を重ねるうちに、幼馴染じゃなくて、1人の女の子として意識し始めたから・・・』

彼女『・・・そっか』

彼『いつも、りさこは俺を励ましてくれたり、いろいろ話を聞いてくれたりした』

彼女『うん』

彼『彼女にするなら、オレの事をなんでも知ってる、悪い所も沢山あるオレだけど、それでもりさこはずっと一緒に居てくれたし』

彼女『だって・・・それは私が・・・』

彼『違うんだよ!多分だけど、気付かないフリをしていただけで、本当はオレもずっと、りさこの事が好きだったのかもしれない』

彼女『・・・・・』

彼『・・・・・』

彼女『なんかさ、なんでこうなっちゃったんだろうね・・・』

彼『・・・・・』

彼女『これから二人で、沢山思い出作って行こうと思ったのに・・・この先、ゆうや君と結婚して、幸せな家庭を築いて行こうと思っていた矢先・・・』

彼『もう・・・いいから・・・その話は・・・やめよう』

彼女『・・・・・』

彼『・・・・・』





その後、彼が自宅に帰るまでの時間、お互い言葉を交わす事無く、沈黙の時が続いた。





彼は自宅に帰る途中、彼女の事をずっと考えていた。


『やらずに後悔するより、やって後悔した方がいい』


彼女のその口癖が、彼の頭の中でこだました。






彼『・・・・・よし!』







彼は、ある決断をした。









それから1ヶ月が過ぎた頃


彼『りさこ、あのさ・・・』

彼女『うん?』

彼『これ・・・』

彼女『・・・えっ!?』






彼が彼女に差し出したモノは、婚約指輪だった






彼女『これは・・・えっ!?・・・なんで?』

彼『これは、オレの今の想いだから』

彼女『でも・・・私はもうすぐ・・・』

彼『覚えている?』

彼女『・・・?』

彼『いつもりさこが、オレに言っていた言葉』

彼女『・・・・・』

彼『やらないで後悔するより、やって後悔した方がいい』

彼女『・・・・・』

彼『その言葉、オレなりにアレンジしてみた』

彼女『・・・アレンジ?・・・』

彼『うん。オレなりのアレンジは『やらないで後悔するより、やって後悔しない方がいい』だ。』

彼女『・・・・・』

彼『正直、こんな事になってしまって、オレは頭の中が真っ白になった・・・そして物凄く目の前が真っ暗になった』

彼女『・・・・・』

彼『でも、大好きなりさこに、今オレが出来る事・・・そして、オレが願っている事が、これなんだよ』

彼女『・・・・・』

彼『りさこ、オレと結婚して、オレの嫁さんになって欲しい!』

彼女『・・・・・』





彼女は、言葉を発する事なく、ただ俯いて泣いていた。

しかし、その涙は、悲しみの涙ではなく、一生分の幸せを実感した涙だった。





彼『あと、1ヶ月後に、正式に結婚式を挙げよう』

彼女『・・・・・』

彼『今までずっと、オレの彼女で居てくれて、ありがとう』

彼女『・・・・・』

彼『でも、これからは、彼女ではなく、オレの嫁さんとして、これからもよろしくお願いします』

彼女『・・・コチラこそ、至らない嫁だと思いますが、よろしくお願いします。』






その1か月後、彼と彼女は、病院の近くの小さな教会で結婚式を挙げた。

それは、お互いの両親だけを呼んだ、小さな結婚式だった。




彼女『まさか、ウエディングドレスまで着る事が出来るなんて・・・』

彼『うん。世界一の嫁さんの晴れ舞台だから』

彼女『・・・もう!そんな恥ずかしい事言わないでよ!』

彼『だって、本当の事だろ?』

彼女『・・・もう!・・・でも・・・』

彼『・・・?・・・』

彼女『私、本当に幸せだよ!世界一幸せな花嫁さんだよ!』

彼『・・・・・』

彼女『世界一の旦那様が、ゆうや君で本当に良かった・・・』

彼『・・・・・』

彼女『本当に、ありがとう』

彼『コチラこそ、りさこがオレの花嫁さんになってくれて、世界一幸せだよ』

彼女『・・・うん』

彼『これからも、末永くよろしくお願いします』

彼女『それは私のセリフなんだから♪』










その3か月後、彼女は天国へと旅立った。

彼女の最期の顔は、とても穏やかで、とても幸せそうなやすらかな顔だった。





彼と彼女の愛は、永遠に色褪せる事無く、これからも、未来永劫、その想いは続いて行く事だと思う。






※彼の決断・・・

それは、人によっては『満たされない行動』と思う人も居ると思います。

しかし、彼にとっては、この決断が、自身が彼女に出来る最後の行動だった

そして、彼自身の想いが詰まった行動だった。




『やらないで後悔するより、やって後悔する方がいい』と言う言葉が『やらないで後悔するより、やって後悔しない方がいい』に変わった。


それは、彼が彼女の事を、本気で愛していた証であり、彼自身、その行動に何の後悔もしていない事なのだと思う。



これを読んだあなたも、『やらないで後悔するより、やって後悔しない』と言う人生を歩める事を、切に願います。




あなたのこれからの人生に、たくさんの笑顔と幸せが訪れます様に。。。