illust1977



あるところに、1人の女が居た。


彼女は、ある大きな公園に1人たたずんでいた


彼女は、長年付き合って来た彼と破局した・・・




しかし彼女は、その時既に彼との子供を身籠っていた


彼女は悩んでいた


自身から生まれて来る、そのかけがえのない『存在』


しかし、自分を捨てた彼の軌跡でもあるその『存在』・・・




彼女には、正直自信が無かった・・・


まだ20歳前後である事


そして、生まれてくる子供を、本当に愛情を込めて育てて行く事が出来るか否かの迷い・・・




彼女は、公園にある小高い場所に立っている1本の木を眺めていた


それは、1本の桜の木だった




彼女は何故か、その桜の木が凄く気になり、その小高い場所にある1本の桜の木の近くに向かった


それはとても大きな、昔から有るであろう桜の木だった







???『この桜の木、綺麗でしょ!』



桜の木に見とれていた彼女は、突然話し掛けられた事に、一瞬驚いた



彼女『・・・・・』


???『クスッ』




彼女が振り向くと、そこには小さな男の子が1人立っていた




男の子『この桜の木、とても綺麗でしょ?』


彼女『そうだね・・・』


男の子『でもね、この桜が1年を通して眺めてるここからの景色は、もっと綺麗なんだよ♪』




彼女は、その小さな男の子が指差す方向を眺めた


そこには、今まで桜の木に見とれていた為、全く気付かなかったが、とても綺麗な景色が広がっていた





男の子『ここはね、ボクのお気に入りの場所なんだ♪』


彼女『そうなんだ』


男の子『うん♪』




しばらく2人は、その景色を眺めていた




男の子『お姉ちゃん、今凄く悩んでる事あるでしょ?』


彼女『・・・どうして?』


男の子『うん・・・なんだか表情がそう言ってる気がする』


彼女『・・・・・』


男の子『ボクね、見えるんだ・・・』


彼女『・・・見える?』


男の子『うん・・・人の心が見えるんだ・・・』


彼女『・・・・・』


男の子『お姉ちゃん、どうするつもりなの?』


彼女『・・・・・』


男の子『生まれてくる子には、罪は無いんだよ・・・』


彼女『・・・・・』


男の子『その子にも、ここの桜の木・・・そしてここから眺める綺麗な景色を見せたいと思わない?』


彼女『それは・・・』


男の子『生まれて来ようと、懸命で頑張っている子の命を、摘み取ってしまうの?』


彼女『・・・私には、自信が無いのよ・・・・』


男の子『・・・・・』


彼女『この子を・・・ちゃんと愛情を込めて育てて行く事が出来るのか・・・』


男の子『・・・・・』


彼女『だから、この子は生まれて来ない方がいいんじゃないかって・・・・・生まれて来ても、きっと幸せにはなれないんじゃないかって・・・』


男の子『お姉ちゃんは、何もわかってない!』


彼女『・・・・?』


男の子『幸せに出来るか出来ないかは、この子が生まれて来てからどうするかの話でしょ?』


彼女『・・・・・』


男の子『それに、幸せになれないとか、そんな考えは、お姉ちゃんの勝手な決め付けでしょ!?』


彼女『・・・・・』


男の子『この子は、こんなに生まれて来ようとしてる・・・そして、はやくお母さんと会いたいと願ってるんだよ!』


彼女『私は・・・この子にとって、そんな素敵なお母さんにはなれないよ・・・』


男の子『たとえ素敵なお母さんじゃなくても、お姉ちゃんから生まれて来たこの子は、一番最初に大好きになる存在は、お姉ちゃんなんだよ!』


彼女『・・・・・』


男の子『・・・ボクは・・・』


彼女『・・・?』


男の子『ボクみたいな存在を、これ以上増やしたくない・・・・』


彼女『キミは・・・』


男の子『うん・・・ボクは、生まれて来たかったけど、生まれて来れなかったから・・・』


彼女『・・・・・』


男の子『お姉ちゃんがこの世に居るのは、お姉ちゃんのお母さんが、お姉ちゃんを生んでくれたおかげなんだよ!』


彼女『・・・うん・・・』


男の子『それと同じで、お姉ちゃんのお腹の子も、お姉ちゃんがお母さんから生まれて来たように、生まれて来たいと願ってるんだよ!』


彼女『そうだね・・・ごめんね・・・』


男の子『ボクは、ここの桜が咲く頃には、またここに居るから』


彼女『・・・・・』


男の子『だから来年は、お姉ちゃんと、この子と2人でここに来て』


彼女『・・・うん・・・』










その後、彼女はお腹の中の子を産む決意をした。


それは、たとえ破局した相手の子供であっても


自らの大切な子供でもある・・・


そして、生まれて来たいと願っていながら、生まれて来れなかった男の子の為にも・・・


新しく誕生する『尊く、かけがえのない命』を大切にする為にも




その後、翌年の春に彼女が桜の木を訪れた時、男の子は彼女の前に姿を現す事は無かった・・・


男の子が一体、誰だったのか、どんな存在だったのかは、今では知るよしもない・・・・


ただ、1つだけ言える事は、2人の幸せな光景を、男の子は何処かから眺めて居るに違いない。









※人が誕生する事

新しい命が育まれる事

とても素晴らしい事だと思います。


人の誕生は、奇跡なのかもしれない・・・

しかし、その奇跡が、親子の間には有るのだと願いたい。



子供としての立場の人・・・

あなたを生んでくれた母親は、とても偉大な存在だと思います。

あなたがこの世に居るのは、親の愛情を受けたからこそ、ここに存在していると言う事

それを、心の隅にでも、記憶にとどめて居てください。



そして、親としての立場の人・・・

あなたにとって、かけがえのない『子供』と言う存在を、大切にしてください。

心から、その存在を愛してください。

それは、他では変えられない『大切な存在』であるのだから。






      ☆あなたの未来に☆

   ☆最高の幸せが訪れますように☆