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あるところに、1人の男が居ました。


彼の名前は『ともかず』


彼は、今まで付き合って来た彼女と、先日破局をしました。




『ごめん、他に好きな人が出来たから、もう別れよ?』




長期間、共に過ごして来たハズの彼女との破局は、ある日突然訪れました。


たった1行のメールで、彼の今までの10年の思い出は、過去のモノとなった。





長く付き合って来た恋愛の絆・・・


それに何の意味があるのだろう?




彼は、そんな事を思いながらも、彼女と過ごしたアパートを引き払う為、部屋の片づけをしていました。


あらかた、部屋も殆ど片付き、あと残されたのは、部屋の奥にあるクローゼットのみ・・・


彼女との思い出が沢山詰められていたクローゼット・・・それが今では、彼のモノだけが寂しく入っている・・・


そんな光景を見て、彼は彼女と破局した事を、改めて実感した・・・




彼『・・・・・』




彼女から、別れを告げられた日


その日は、それほどまでに思っていなかった感情が、クローゼットの変化を見た彼は、その時ようやく彼女を失った事を実感したのだった。


そんな感傷に浸っている時、ふとクローゼットの奥に目を向けたら、片隅に1つの段ボールがある事に気付いた。


それは『開封厳禁』と書かれ、ガムテープで密封されたモノだった。


彼自身が、その段ボールの存在の事を忘れていた。


その為、一体何が入っているのか?もしかして、彼女が忘れていったモノなのか?


そんな疑問の中、彼はその中身を確認するべく、厳重にガムテープで密封された段ボールを開封した。





そこには、たくさんの手紙と、男の子と女の子が仲良く笑っているイラストが入っていた。


それらはすべて、彼宛のモノだった。。。


それを見た時、彼は10年前の記憶が蘇ってきた。






10年前、彼は破局した彼女と付き合い始める前、とある女の子と手紙の交流をしていた。


その女の子は、彼より5歳年下の女の子だった。


女の子の名前は『かなこ』


彼が18歳、女の子が13歳の時、ある雑誌を通じて、2人は手紙で交流し始めた。




そんな交流が続いて1年経った頃・・・


彼はいつしか、遠い場所に住んでいる、手紙の女の子に淡い恋をしていた。


そして、女の子の方も、彼に淡い恋をし始めた。。


そんな中、彼は女の子に告白をした。




『好きです』




それから数日後、女の子の方から手紙が届いた。




『わたしも、大好きです』




遠距離だったが、2人は友達から、恋人同士になった。



それからは、お互い手紙のやりとりが密になって行き、次第にその想いがどんどん強くなって行った。



ある日、彼女から大きな封筒が届いた。


それはいつもの手紙とは違い『折り曲げ厳禁』と赤い文字で書かれた封筒だった。


彼はいつものように、彼女から届いたその封筒を開封した。


封筒の中には、いつもの手紙と、1枚のイラストが入っていた。


そこには、とある田舎の風景の中、男の子と女の子が、ニコニコと笑顔になっているイラストだった。


そのイラストの裏には『未来予想図』と書かれていた。



『ともくん、こんにちは。

最近、少し暑かったり寒かったりする季節になってきたけど、体調とか崩してないですか?

ともくんが、わたしの彼氏になってくれてから、もう半年が経とうとしてます

最初はね、ともくんに告白された時は、物凄くビックリした・・・

でも、ともくんとお手紙のやりとりするようになって、次第にともくんの事ばかり考えるようになってた

朝起きても、ご飯食べてる時も、学校の授業中の時も、部活の時も、夜寝る前とかも・・・

そんな風に、ともくんの事ばかり考えるようになってた時、ともくんが私の事『好き』って言ってくれた

わたしね、心臓が止まるかと思ったよ・・・

夢なら、覚めないで欲しいって思った

そのお手紙ね、何回も何回も読み返しちゃった(笑)

それでね、わたしも自分の気持ちを、ともくんに伝えなきゃ!って思って、お返事を書いた。。。

気持ちが落ち着かなくって、なんだかよく分からない内容だった様な気がする・・・

でも『大好き』って言葉を入れれば、少なくともわたしの気持ちは伝わるんじゃないかなぁ?って思って

凄く凄く恥ずかしかった・・・だけど・・・ともくんが大好きって頑張って伝えようと思って・・・

あっ・・・このお手紙も、なんだか文章が変だぁ・・・(笑)


あれからもう半年かぁ♪


今日はね、ともくんとわたしのイラストを描いてみたんだぁ。。

景色はね、わたしが住んでるところの風景だよ


いつか、ともくんと結婚して、このイラストみたいな風になれたらいいなぁ。

うぅっ・・・なんだかまた恥ずかしくなってきちゃった・・・


またお手紙書くね!



大好きなともくんへ・・・

        かなこより。』







しかし彼は、その後なにを思ったのか、今回破局した地元の彼女と付き合う事になった。


それ以降、手紙の彼女には、手紙を送らず音信不通になった。。


彼は、手紙の彼女の気持ちを踏みにじるという、酷い事をした。。。





それから更に半年経った頃



1通の手紙が、彼の元に届いた。



差出人には『〇〇かなこ』と書いてあった。




『ともくん、お久しぶりです。

元気にしてますか?

ともくんからお手紙が来なくなって、もう半年が経ちました。


ともくん、どうしたの?・・・何かあったの??

かなは、ともくんからお手紙が来なくなってから、ずっとずっと毎日、学校から帰って来たら、すぐにポストの確認ばかりしてます

今日も、ともくんからお手紙が来てない・・・

ともくんに、何かあったんじゃないか?そればかり考えてしまう。。。


かながあの時、あんなイラストとお手紙を送ったから・・・ともくんは、かなの事が重いとおもってしまったのかなぁ?

もしそうなら、ごめんね・・・

ともくんが嫌な思いをしたのなら、ごめんなさい。


かなの事、嫌いになったのかなぁ??

それとも、事故か病気で連絡出来なくなったのかと心配してます

どっちの理由だとしても、すごく不安になった・・・

いろいろ悩んだし、怖かったけど、でも本当の事が知りたくて、もう一度お手紙を書いたよ

ともくんに、何かイヤな事をお手紙で言ってたのなら、ごめんなさい・・・


あれから連絡が無いので、心配してます

良かったら、一度だけでもいいから、お手紙ください

かなは今でも、ともくんの事が大好きです

だから、わがまま言えば、またお手紙のやり取りしたいです』







彼は手紙の彼女を裏切った事による罪悪感から、その手紙の返事を書くことが出来なかった。

いやむしろ、彼は手紙の彼女に対して、物凄く酷い仕打ちをした事にその時気付き、その概念から、その手紙を無視した・・・と言う方が正しかった。




その手紙を最後に、手紙の彼女からは、1通も手紙が届く事は無かった。。。



それから現在に至り、10年付き合った彼女と破局した。



そして今回、かなこの手紙と、かなこが描いた『未来予想図』のイラストを見て、彼は後悔した。





これは、ひとえに『因果応報』なんだと、その時彼は痛感した。。。






『かな・・・ごめんな。。。』



彼は、かなこが今、幸せである事を、願わずにはいられない心境になった。






※『因果応報』・・・行った行為は、いつか必ず自分自身に戻って来る。


そんなお話。。。


あなたは、本当にあなたを想ってくれている人を、大切にしていますか?

もし、あまり大切にしていないのでしたら、もう一度自分を見つめ直してみてください。



本当に、心から想ってくれている人は、なかなか居ないモノです。

そんな人との絆を、大切にしてください。。。




あなたのこれからの人生に、たくさんの幸せと笑顔が訪れますように。。。